ALBION ONE 解説〜Darwin Percussion Ensemble編〜

2月 19, 2021

今回はALBION ONE パーカッション音源「Darwin Percussion Ensemble」の解説をします。

 〜まえおき〜

過去にSPITFIRE AUDIO社から販売されているシネマ系オーケストラ音源ことの「ALBION ONE」の紹介記事を書いたのですが、購入していざ使用するにあたって、機能的なことや何ができて何ができないかなど解らないことが多かったのでマニュアルやら動画やらを翻訳して調べてみました!で、せっかくなので何回かに分けて記載しようと思います!

「ALBION ONE」は大きく分けて以下4つの音源が導入されています。

各音源ごとにパネルの名称や操作方法等の仕様が異なります。

全ての情報を集約して記事にしてもいいのですが僕自身、情報量が多いと混乱する人間なので、各音源ごと仕様解説をしていきます。

〜Darwin Percussion Ensemble 編〜

音源概要

太いタムやシンバル等の金物が導入されているシネマ系のパーカッション音源。

4つのマイク・ポジション(Close, Tree, Outriggers & Ambient)をロードしてミックスすることで、制作している楽曲に合わせて音像の規模感を調整することが可能。

 メリット
  • 基本的なシネマ系のパーカッションが揃っている
  • シンプルな操作感と音源の量なので扱いやすい
  • 際マッピングによる自分好みのカスタマイズが可能
 デメリット
  • パーカッション自体の種類は少ない

基礎パッチ解説

5つのパーカッションパッチが搭載されている。

パッチ音色詳細に関して、マニュアル等に記載がない為、音とその他情報収集を元にした推測。

Darwin Percussion Ensemble(シネマ系パーカッション)

マルチパーカッションパッチ。以下の低〜高音までの6つのパーカッションで構成される。

  • SUB HITS:低音バスドラム系
  • LOW HITS:低音タム・バスドラム系
  • MID HITS:中低音タム系
  • HIGH HITS:中高音タム系
  • HIGH STICK:スネア系
  • METAL:金属系

Eastar Island(イースターアイランド)

低音パーカションパッチ。( HIT系)パッチ名に由来するかは不明。

WET(空間の響きが多い)な音で構成される。

以下の低〜高音までの2つのパーカッションで構成される。

  • EASTER
    低音バスドラム系。バスドラムに金属系のアタックがMIXされている音も存在する。
  • EASTER X
    EASTERにエフェクトをかけたような音で構成される。効果音の爆発音のような歪み方をしている。

Hyper Tom(タム)

タムとオクトバンのパッチ。(オクトバンとは、少し小さめ細長めのタムが複数連結した楽器)

各パーカション毎に、Tight・Looseが存在する。

Tight:2本のスティックで叩く際、同タイミングで叩いた音。

Loose:2本のスティックで叩く際、ロールの様に少しズラして叩いた音。

以下の低〜高音までの4つのパーカッションで構成される。

  • OCTO LOW:低音オクトバン
  • OCTO HI:高音オクトバン
  • TOM LO:低音タム
  • TOM HI:高音タム

XXL Percussion(効果音パーカッション)

民俗的な要素も含む音、効果音に近いマルチパーカッションパッチ。

以下の低〜高音までの9つのパーカッションで構成される。

  • OCTOBANS
    オクトバン。大きさからなる音の高低がない。Hard・Soft・Stickと3種のみ選択可能。
  • MORRIS HITS(イングランド伝統舞踊)
    モーリス・ダンスで使用される木剣が打ち合う音。
    Morris dancingの1種のみ選択可能。
  • METAL BINS
    金属の容器もしくはゴミ箱を叩いた音。Hard・Stickと2種のみ選択可能。
  • BINS
    容器もしくはゴミ箱を叩いた音。Bamboo Hit・Hard・Soft・Stickと4種のみ選択可能
  • BAMBOO
    竹を落とした際の音。Bamboo dropの1種のみ選択可能。
  • TRELLIS
    格子を剣で叩いた音。Swordfightの1種のみ選択可能。
  • STICKS
    スティック同士で叩いた音と床にぶつけた音。Hit・Hit on floorと2種のみ選択可能。
  • TOM LO
    低音タムを叩いた音。Hard Hit・Soft Hitと2種のみ選択可能。
  • TOM HI
    高音タムを叩いた音。Soft Hitの1種のみ選択可能。

Legacy patches(シンバル・ゴング系&スウェル)

各何種類かのシンバル・ゴング・タムタムとスウェルのパッチ。

以下の4つのパッチが「Legacy patches」フォルダの中に格納されている。

  • Cymbals and Gongs – Cymbals1
    各何種類かのシンバルや叩き方が存在する。シンバルロールも導入されている。
  • Cymbals and Gongs – Cymbals2
    主にシンバルロール(シンバルスウェル)関連の音が複数存在する。
  • Cymbals and Gongs – Tams and  Gongs
    ゴング・タムタムが複数存在する。
  • Swells
    高低音のスウェル。キースイッチで切り替えることが可能。
    シンバル等の金属系スウェル音ではない。
    低音:不明
    高音:スネアロール系

拡張パッチ解説

Stereo Mixes

4つのマイク調整ができない代わりに、RAM(メモリ)への負荷が少なく処理が軽いパッチ。

以下3つのパッチが存在する。

  • Darwin Percussion Ensemble
  • Hyper Toms
  • XXL Percussion

各種機能説明

各3つのエリア(左・中・右)と各機能解説。

OPTIONS(左エリア)

下記の4項目に関して、ON/OFFの設定が可能。

Purge unused

ON にすると、使用されていないサンプルがRAMから解放される。

CC based velocity

ON にするとCONTROLLERS内のDynamicsでノートのベロシティを制御可能。

ベロシティクロスフェードのようなもの。

ON時:ノートベロシティを変更しても強弱が変わらず、Dynamicsの操作で強弱(音量)が変化。

OFF時:ノートベロシティを変更で強弱(音量)が変化。

Reset RR on

ON にするとラウンドロビンのサイクルをリセットするためのキースイッチがON になる。

表示されている音名を上下にドラッグ&ドロップすることで、キースイッチ・ノートを変更可能。

Reset on transport

ON にするとDAWのトランスポート(=再生)が停止した際にラウンドロビンのサイクルが

リセットされるようになる。

CONTROLLERS(左エリア)

下記の2項目に関して、スライダーを使用することで任意の値に変更することが可能。

Dynamics

ダイナミクスをコントロール。ベロシティクロスフェードのようなもの。

右に行くほどベロシティが上がった音になる。

MIDI CC#初期設定:CC#1

Expression

全体ボリュームを決める。

MIDI CC初期設定:CC#11

MIC MIX(左エリア)

4つのマイクポジションで収録された音。以下の設定を調節できる。

  • 各マイクのボリューム調整。
  • フェーダー下部のアイコンを点灯させることで任意のマイク・チャンネルをon/off可能。
  • フェーダーを右クリック→任意のCC#にフェーダーを設定することが可能。
  • 「C」「T」「A」「O」自体をクリックすると出力先を変更可能。
  • パッチによってはマイクの種類が増減する。(C/T/A/O)

マイクの種類

C:クローズ・マイク

楽器に近い距離で収録するマイク。原音に近くクリアな音が特徴。

XXL Percussionパッチを使用した場合、C1/C2が存在する。

MIDI CC初期設定:CC#22

T:デッガ・ツリー・マイク

デッカ・ツリー手法で収録するマイクセッティング。

指揮者の上部に配置されたマイクで3本のノイマンM50を使用。

楽器との程よい距離でパンチの効いた音でありながら空間を感じる音が特徴。

MIDI CC初期設定:CC#23

A:アンビエンス・マイク 

楽器からとても遠くリスナー側の離れた位置に配置されたマイク。 

最も空間の広がりを感じる音が特徴。

MIDI CC初期設定:CC#24

O:アウトリガー・マイク

ツリー・マイクの左右外側に広い間隔で配置されたマイク。

ツリーのマイクにさらなる広がりを追加できる。

ツリーとアンビエンスの中間くらいの空気感が特徴。

MIDI CC初期設定:CC#25

各種アイコン

【III】アイコン

クリックでベロシティ・カーブを調整する画面に切り替わる。

プルダウンメニューよりカーブ を選択・変更することが可能。

【><】アイコン

クリックで Stereo Width(ステレオ幅)と Stereo Pan(ステレオ・パン)を調整する画面に切替。

調整は水平スライダーで行う。

【○○】アイコン

マイクミックスの各マイク値などの設定を各打楽器に対して個別に設定可能。

クリックして○○の輪が重なっている状態だと、マイク設定が他の打楽器にもリンクされる。

【フロッピー】アイコン

ミックスのセッティングに関して、5つの設定が可能。

  • Reset(リセット)
  • Copy(コピー)
  • Paste(ペースト)
  • Load(外部ロード)
  • Save(外部セーブ)

Instrmentエリア(中エリア)

任意の「打楽器アイコン」をクリックすると、利用可能ヒットとテクニックが右側に表示される。

CMDを押しながらクリックすることで複数を選択すること可能。

ヒット&テクニック(右エリア)

現在選択されている「楽器アイコン」の使用可能なヒット&テクニックが表示される。

※利用できるテクニックは楽器によって様々で異なる。

ヒット&テクニックを再マッピングすることで自己カスタムマッピングすることが可能。

□ボタン

選択されている「楽器アイコン」名の右の□ボタン:on/off。

ロードとアンロード。offにするとキーボード上に表示しなくなる。

[歯車アイコン]

クリックで以下の項目を設定可能。

2 finger mapping

ON:シングルフィンガーモード。選択したテクニックに対し、1つのキーがマッピングされる。

OFF:2フィンガーモード。選択したテクニックに対し、2つのキーがマッピングされる。

ロール奏法などに最適。

注意点:選択したキー(鍵盤)から固定で全音上のキーに配置される。

使用する際は、他キーと被らないよう、テクニックを半音ずらし(黒鍵)で配置。

Round robins

ラウンドロビンの数を変更するには右のx4とうの数字をドラック&上下で変更することが可能。

ON/OFFが可能。

ヒットとテクニックをマッピングする方法

1.音源を選択する

SUB HITSなどの「楽器アイコン」をクリックして選択。

すると選択しているヒット&テクニックが右エリアに表示される。

2.テクニックを選択する

テクニックリスト(Hit1やHit2と表示されている)からマップした任意のテクニックをクリック。

選択されている状態になると、名前が薄く灰色になる。

3.目的のキーを押す

MIDIキーボード等でマッピングしたいノートを押すことで、選択したテクニックのキー(鍵盤)の位置を任意の場所へマッピングすることが可能。

例:キー(鍵盤)の位置/G0→A0など

※G0などキーの位置が書かれている箇所をドラッグ&上下でも変更可能。

次回

次回はシンセサイザー「Stephenson’s Steam Band」について解説記事をまとめたいと思います!

それでは!