ALBION ONE 解説〜Stephenson’s Steam Band編〜
今回はALBION ONE シンセサイザー音源「Stephenson’s Steam Band」の解説をします。
〜まえおき〜
過去にSPITFIRE AUDIO社から販売されているシネマ系オーケストラ音源ことの「ALBION ONE」の紹介記事を書いたのですが、購入していざ使用するにあたって、機能的なことや何ができて何ができないかなど解らないことが多かったのでマニュアルやら動画やらを翻訳して調べてみました!で、せっかくなので何回かに分けて記載しようと思います!
「ALBION ONE」は大きく分けて以下4つの音源が導入されています。
- オーケストラ楽器群「ALBION ONE Orchestra」
- パーカッション楽器「Darwin Percussion Ensemble」
- シンセサイザー音源「Stephenson’s Steam Band」←今回の記事
- ループ素材「Brunel Loops」
各音源ごとにパネルの名称や操作方法等の仕様が異なります。
全ての情報を集約して記事にしてもいいのですが僕自身、情報量が多いと混乱する人間なので、各音源ごと仕様解説をしていきます。
〜Stephenson’s Steam Band 編〜
音源概要
オーケストラ関連の収録素材をベースに作られたシネマ系シンセサイザー音源。
eDNAエンジンという独自エンジンが搭載されており、A/Bという独立した各シンセにそれぞれ素材をロードし、エフェクトなどの設定をすることで、新たな音を制作することが可能。
メリット
- オーケストラ素材をベースにしたシンセなので、エレクトリックとオーケストラを
融合させた音楽を制作することに優れている - 音がかなり重厚なので、プリセットを選んで曲に混ぜるだけでシネマ感が出る
- GateやPanが自動で左右に動いたりするプリセットがあることで簡単に空間の広がりを
作ることができる - 構造ががっつりシンセなので効果音的な音も制作可能!
デメリット
- プリセットが明確にジャンル分けされていなく、似たような音が多く存在するので
自分好みのプリセットを探してお気に入り登録する時間が必要 - 内部機構に使いやすい保存機能がない
プリセット解説
大きく分けて10つのプリセットジャンルが搭載されている。
※明確にジャンル分けされておらず、異なったプリセットジャンルの中にそれぞれ似た音作りされたプリセットがあるため、全ては紹介できないが、例としてどのような音が用意されているかを記載する。
- ノイズに近い音程感の少ないPAD
- 金属系のパーカッションやオルガンなどを素材をベースにしたPAD
- ポルタメントの効いた図太いBassシンセ
- 海の中にいるような篭った音
- 各音色にGATE・歪み系・空間系のエフェクトがかかっている
各種機能説明
各4つのエリアに分けれれている。
- 音作りエリア(上部エリア)
- GATEエリア(中部エリア1)
- FX_DASHエリア(中部エリア2)
- eDNA(下部エリア)
音作りエリア(上部エリア)
A/Bという独立した各シンセに、それぞれ素材をロードし、エフェクトなどの設定をすることで、新たな音を制作することが可能。
基本的にパラメーター・設定などの項目は各A/Bに同じものが存在する。
A/Bシンセの音選択
フォルダアイコンをクリックすることで、選択中プリセット内の音一覧が表示される。
任意の音名をクリックすることで、ロードすることが可能。また右の再生アイコンをクリックすることで、どんな音なのかを確認することが可能。
PRESERVE PARAMETERS/PURGE UNUSED
- PRESERVE PARAMETERS
ONにすると、新しいサウンドをロードするときに、現在のベンド/グライド/チューン/パン/ LFO設定などを保持する。各サウンドは設定したLFO /チューン/パンを共有する
OFFにすると、各サウンド毎に設定を保持する - PURGE UNUSED
ONにすると、使用していないサンプルをアンロードし、メモリ使用量を可能な限り低く抑える
- スピーカーアイコン: ミュート
- Xアイコン:選択音の削除
- <>:選択音NO変更
A/Bの選択している音色を入れ替えることが可能。
WOBBLES
下記の3つのパラメーターが存在し、各パラメーター毎に変調させる内容が異なる。
変調させる内容は速度と強度/方向の2つ。
- VOLUME
音量を出し続けるか、減少させるかの設定が可能
▼変調項目
速度:音量変化の速さを設定することが可能
強度/方向:上方向だと発音時から徐々に音量が大きくなり、下方向だと小さくなる - PITCH
音程の高低差を制御することが可能
▼変調項目
速度:ピッチが変化する速さを設定することが可能
強度/方向:上方向だとピッチ上昇から始まり、下方向だとピッチが下降から始まる - FILTER
LPFフィルターステージとHPFフィルターステージの両方をモジュレートすることが可能
▼変調項目
速度:ピッチが変化する速さを設定することが可能
強度/方向:準備中※各パラメーターに対して変調の設定方法は次の画像で説明
各パラメーターに対して変調に関する選択枝
- 速度
波形を上下にドラッグすることで、各パラメーター毎のWOBBLEの速度/周波数を変更する。
上記2つの枠はリンクしている。
- 強度/方向
※上記の3つのパラメーター毎に内容が異なる
LOPASS/HIPASS フィルター
周波数を左右にドラッグすることで、カットする周波数を変更することが可能。FILTERに影響。
- LOPASS(ローパスフィルター)
カットオフポイントより上の周波数をカット - HIPASS(ハイパスフィルター)
カットオフポイントより下の周波数をカット
TUNE/PAN/OFFSET/TRIM
- TUNE:ピッチの設定を0.00単位で設定することが可能
- PAN:パンの設定
- OFFSET:1key毎に半音ずつピッチが変化する
- TRIM:A/B間 のボリュームバランスを微調整するのに使用
ENVELOPE
- A:アタック
- D:ディケイ
- S:サスティン
- R:リリース
BEND
ピッチ変更させる別の方法。以下の項目で詳細設定が可能。
- 左バー
指定したセントの何パーセントでピッチ変化させるかを設定することが可能
例)2400centsの50パーなら1200centsの変化を与える - 右バー
セント単位でピッチの調整が可能
CLONE
ONにすると、再生時に元の音に対して異なる高さの音程が追加することが可能。
以下の項目で詳細設定が可能で、デチューン効果も作れる。
- 左バー
100セント(1半音/ハーフトーン)ステップで上下に +/- 1200セント(1オクターブ)に調整可能 - 右バー
クローンがさらに小さい増分+/- 100セント(1半音/ハーフ トーン)で調整可能
GLIDE
ONにすると、音と音の間を滑らかに変化させる。グライド量を増やすことが可能。
THE MIGHTY X-FADER(Xフェーダー)
A/Bの各シンセ音の混ざり具合が調整できる。
真ん中のXフェーダーが左に移動するほどAシンセ音の割合が大きくなり、右に移動するほどBシンセ音の割合が大きくなる。
また、OSCILLATE MIXERを ONにすることで、A/Bの各シンセが混ざった音に対して、変調させることが可能。
OSCILLATE MIXER(オシレートミキサー)
ONにすると、真ん中のXフェーダーが自動稼働する。
OFFにすると、Xフェーダーをクリックすることで、A/Bシンセの混ざり具合が任意の箇所で調整でき、自動稼働しない。
Xフェーダー速度設定
OSCILLATE MIXER をONにし、自動稼働モードにした場合、Xフェーダーの移動速度が変更できる。数値が低いほど早く変動する。
X-FADER(Xフェーダー)
A/Bの各シンセ音の混ざり具合を視覚的に確認できるメーター。
開始/フェーズ
Xフェーダーが開始する場所と最初に進む方向を制御。(オシレーターの開始地点を決める)
方向の調整
左右の垂直バーが2つある。
Xフェーダーが各方向に移動する量を制御する。
左右垂直バーデフォルト値=100%
100%=A/Bからの音が振動の頂点で著しく消えることを意味する。
50%=A/B内外で単純に振動する。
STOP ON RELEASE
ONにすると、ノートリリース時(A/Bシンセ両音が完全に減衰しきって停止した後)にXフェーダーの位置を真ん中に戻す。
X-FADERオシレーター
A/Bの各シンセ音に対して変調させるオシレーターのタイプを選択することが可能。
4つのオシレータータイプから任意のオシレーターを選択することでXフェーダーの自動稼働の動きが変わる。
GATEエリア(中部エリア1)
A/Bの各シンセ音に対し、GATE効果をかけることが可能。
上段がAシンセ音に対して掛かるGATEシーケンス。
下段がBシンセ音に対して掛かるGATEシーケンス。
シーケンス(オレンジ色の小さい長方形)の1つ1つはオレンジ色に点灯していると有効になる。
右の矢印をクリックすることで、A/Bのシーケンスが入れ替わる。
GATE SEQUENCER
ONにすると、GATE効果が適用される。
GATE 速度設定
GATEシーケンス速度を設定することが可能。
GATE シーケンス数変更バー
左右にドラックすることでシーケンスの数値を多くしたり少なくすることが可能。
左に設定するほど数が少なくなり、右に設定するほど数が多くなる。
3/4拍子や変拍子に対応することが可能になる。
GATEボリューム
デフォルトの位置で完全にオフである。
バーを移動させるほど、GATEがどれだけ下がるかを調整することが可能。
GATEスムーズイン
正面の形状?を変化させ滑らかにする。
GATEスムーズアウト
GATEのテール量を調整。自動化するのに優れたツール。
Stop on release
ONにすると、リリース時にGATEエンジンが停止する。
After Layer FX
ONにすると、これにより、バンクFX間でゲートステージが切り替わります。戻っ てきますが、ローエンドの素材を再生しているときにゲートがクリックされているの
FX_DASHエリア(中部エリア2)
任意のエフェクトパラメーターをメイン画面に表示・リンクさせることが可能。
エフェクトボード内の各エフェクトパラメーターにあるFAVボタンをクリックにてオレンジに点灯させることで最大8つまで任意のパラメーターを表示・リンクさせることが可能。
※最大値の8つがリンクされていると、ボタンを押しても登録されないので不要なパラメーターをクリックにて点灯を解除することで他のパラメーターを表示・リンクさせることが可能になる。
FX & MOTOR>FX PANEL>ラック>エフェクトボード(プラグインダッシュ)
Control+クリックでLearn MIDI CC# Automationが表示されるので、割り当てたいMIDIコントローラーを触ると割り当てられる。(逆にFX DASH以外ではエフェクトパラメーターを割り当てることが不可能)
STOP ON RELEASE
eDNA(下部エリア)
以下の4つのコントローラーが存在する。
- VOL
- MIXER & SEQ
- ロード
- FX & MOTOR
VOL
ボリューム/エクスプレッション。左右にドラッグすることで設定が可能。
CC#11でコントロールすることが可能。
MIXER & SEQ
メインの音作りエリアが選択される。(音作りエリア/GATEエリア/FX_DASHエリア)
ロードカートリッジ
おそらく選択したインストゥルメンタル(音素材)をカートリッジ風に確認できるだけのもの。
クリックでカートリッチが出たり入ったりする。(くらいしか反応しない)
FX & MOTOR
エフェクトプラグインを掛ける設定を行うことが可能。
FXは下記のような信号経路で作られている。
FX信号経路(Stephenson’s Steam Bandの全体信号経路)
MOTOR FX
準備中
FX PANEL
FXステージ
全部で以下の5つのラックが存在する。
MOTOR(モーター)FXラック以外は全て同じように動作する。(特殊)
- MASTER FX
- BAY A FX(Aシンセ音/A音FX)
- BAY B FX(Bシンセ音/A音FX)
- AUX FX
- MOTER FX
エフェクト一覧
FX PANELのラック毎(BAY A FXなど)に最大8つのエフェクトを掛けることが可能。
エフェクト名の下記チェックアイコンをONにすると、エフェクトが有効になる。
任意のエフェクトをクリックすることで、選択したエフェクトのパラメーターがエフェクトボード(下記画像箇所)に表示され、設定を行うことが可能。
エフェクトボード(プラグインダッシュ)
選択エフェクトの各エフェクトパラメーターを設定することが可能。
FAVボタンをONにすると、「FX DASH」に表示・リンクすることが可能。(FX DASH)
ここでは各パラメーターをCC#・ MIDIコントローラーに直接割り当てることが不可能なので、わコントローラー等を割り当てる場合は「FX DASH」に表示させ、FX DASH上で割り当てる。
使用方法
実際に使用するにあたり、以下の2つの方法がある。
- プリセットを選んでそのまま使用する
- プリセットから自分好みのオリジナル音色を作る
音色制作・選択の工程
- 任意のプリセットを選ぶ
- 各プリセット内から任意の音素材をA/Bにロードする
- 音を調整する(ピッチ・フィルター・A/B音の混ぜ具合などの設定)
- GATEを任意に設定する
- FXを任意に設定する
※3~5は自由、FX信号経路に沿って音作りしてもok!
次回
次回はループ素材「Brunel Loops」について解説記事をまとめたいと思います!
それでは!
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